服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第569回
スーツからブレザーが生まれる話

上下スーツのうち、
パンツだけがだめになった経験ありませんか。
上着のほうはまったく問題ないのだけれど、
パンツはかなりくたびれてきた。
無理をして組合わせても、
もはやスーツに見えない。

ジャケットとパンツを単純に較べると、
少なくとも2倍はパンツのほうが傷みやすい。
だからこそ最初から
「ツー・パンツ・スーツ」という発想があるわけです。
上着ひとつに対して、パンツ2本。
このパンツを交互に穿くことによって、
常にスーツとして活用できるというアイディアです。

けれどもすべてのスーツに
パンツが2本ついているわけでもなし、
パンツが使えなくなってしまった上着はどうするべきか。
たしかにスーツの上着だけ、というのは難しい。
まず第一にスーツという先入観が強いために、
上着だけを羽織ることへの抵抗が大きいのです。

そんな時には実に簡単な方法があります。
ボタンを代えてみる。
スーツの場合、
たいていラクト(樹脂)のボタンが付いています。
これをメタル・ボタンにつけ換える。
と、たちまちブレザーのような表情になるでしょう。
あるいは貝ボタンに代えてみる。
貝ボタンにもさまざまな種類があって、
たとえば黒蝶貝であったり、白蝶貝であったり、
メタル・ボタンも貝ボタンも、
ボタン・ホールに合わせたサイズにすることは
言うまでもありません。
予算としては2、3千円位と考えておけばよいでしょう。
これで1枚のジャケットとして
活用できるのなら安いものです。

スーツでもジャケットでもなく、
ブレザーだと考えれば、
気持が楽になるはずです。
自由に着こなしを楽しもうと思うでしょう。
たとえばブルー・ジーンズを組合わせて下さい。
たとえばチノ・パンツを合わせて下さい。
さらにはワーク・パンツや
ホワイト・ジーンズという事もあるでしょう。
さて、一度こんなふうに
ブレザーだと信じ込んだなら、
もうどんな組合わせや着こなしだって
平気になるに違いありません。


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