服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第568回
サファリ・ジャケットでドレス・アップ

サファリ・ジャケットを着たことがありますか。
もともとは狩猟旅行の時に使われた、
いかにも男らしいジャケットのことですね。
たいていは丈夫なコットンの綾織地で、
肩章や大型ポケットが付いているのが特徴とされます。

“サファリ”safari はスワヒリ語の
“サファラ”safara”から来ている言葉。
「旅をする」という意味です。
本来はアフリカでの狩猟旅行を指したのです。
もっとも“サファリ”はそれほど古い言葉ではなく、
アメリカでは1907年から使われだしたとのことです。

サファリ・ジャケットの似合った男といえば、
誰しもヘミングウェイを思い浮べることでしょう。
ヘミングウェイのサファリ・ジャケットは、
当時NYにあった
「アバークロンビーアンドフィッチ」
という店で作らせたもの。
もちろんジャケットだけでなく、
多くの狩猟用具をここで揃えました。
「アバークロンビーアンドフィッチ」は
1892年創業の高級店で、1975年に閉店。
同じ名前の店は今もありますが、
経営権が移ったものです。
それはともかく、
今のサファリ・ジャケットを完成させ、
流行させたのは
「アバークロンビーアンドフィッチ」ではなかったかと、
私は考えています。

夏こそサファリ・ジャケットがふさわしい。
私はこれに白いパンツを合わせて、
少しドレッシーに着こなしたいなあ、と思うのです。
もちろんホワイト・ジーンズという手もあるでしょう。
白い麻のシャツに白いスカーフ・・・。
つまりジャケット以外はほとんど白で統一して、
テラスで食事をしたらどんなに素晴らしいか。

サファリ・ジャケットの着こなしはただひとつ。
共ベルトをしっかり締めること。
これによって
美しいシルエットが生まれるわけですから。
軽く襟を立てて、
袖口は意図的にボタンを外し、
一度だけ折返す。
ここから白いシャツのカフスをのぞかせるわけです。


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