服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第601回
美しく生きるための秘訣

日野原さんをご存じですか。
今年で92歳という現役のお医者さんです。
その日野原先生が、こうおっしゃった。
“ドント・シンク・アバウト・ユアセルフ”。
「あなたのことばかり考えないで下さい」
とでも言えば良いのでしょうか。
でも、これは一種の反語で、
本当の意味はこうでしょう。
<<なによりもまず人のことを思いやって下さい>>

もちろんこれは
医療をめざす若い人たちを前にして言った
言葉なのだそうです。
“ドント・シンク・アバウト・ユアセルフ”。
なるほど、これは医療の現場においては
この上ない金言となるでしょう。
「自分のことよりもまず先に、相手のことを思いやる」
なんと素晴らしい言葉でしょうか。
しかもこれは必ずしも
ドクターにだけ通用する言葉ではありません。
もしも世の中の人たちが皆、
これを金言とするなら、
間違いなく美しい地球が実現するはずです。

“ドント・シンク・アバウト・ユアセルフ”。
私にとってはたいへん耳の痛い言葉でもあります。
私は人のことより自分のことを
先に考えようとする側に立っているからです。
でも、これが美しく、
正しい言葉であることは理解できます。

たとえば私がAさんに
小さな贈物をしたとしましょう。
Aさんがその贈物を歓んでくれたとする。
と、私はそのAさんの歓びを見ることによって、
歓びを体感する。
身近なことを例にあげれば、
そんなことも実際にはあるのです。

自分が「人」になにかを思いやってあげる。
その思いやりに対して「人」が歓んでくれる。
それは他ならぬ自分の行為の結果なのです。
ここのところを短く言えば、
「人」の歓びは自分の歓びなのです。
その歓びに自分が参加しているからこそ、
歓びとなるのです。

何よりもまず「人」のことを思いやる。
これは美しい言葉であり、理想であります。
そして当然、「人」のなかには自分も含まれる。
「人」は理想をめざして生きているからこそ、
美しくなれるのではないでしょうか。


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