服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第609回
スポーティーなパナマ・ハット発見

もう何か夏の帽子を見つけましたか。
私は候補をひとつ見つけました。
でも、まだ買ってはいません。
目下、考慮中。
イタリアの「テシ」という帽子メーカーのもので、
アイボリー色のパナマ・ハット。
ただし正統派パナマ・ハットではなくて、
やはりエクアドル産の特別の繊維を
ごく粗く、ざっくりと編んだ夏の帽子なのです。
ツバ全体を軽く下に下ろして被るところも
気に入っています。
いわゆる「オールダウン」という被り方ですね。
18,900円。
「トラ屋帽子店」(TEL:3535-5201)で売っています。

オールダウンという被り方は、
一見難しそうに思うかも知れませんが、
実は意外にこなしやすいスタイルなのです。
もう形が決っているので、
素直に従えばそれで良いのです。
ほんのわずか後側を深めに被るのが、
コツと言えばコツでしょうか。

イタリア製だからというわけではありませんが、
気分はゴンドリエで参りましょう。
実際、彼らがユニフォームのように
被っているスタイルを英語では
“ゴンドリエ・ハット”と呼ぶことがあります。
もっともイタリアでは一般に、
“カノティエッラ”canottiera の名で呼ばれます。

これがフランス語になると
“カノティエ”canotierとなります。
ふつうの「カンカン帽」のことです。
そしてこれは「舟をこぐ」という意味の
“カノタージュ”が語源なのです。
「舟をこぐ人が被る帽子」
という意味から来ているのでしょう。

フランスの“カノティエ”よりも
イタリアの“カノティエッラ”のほうが、
ややツバが広いような感じがあります。
でも、その両方とも、もともとは船頭たちの、
ごく実用的な帽子からはじまっているのだと思います。
たしかに典型的な夏の帽子といえば、
カンカン帽(カノティエ)ですが、
まだそれを被る自信と勇気はありません。

どうやら今年はスポーティーな
イタリアのパナマ・ハットを
頼りにすることになりそうです。


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