服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第641回
わが理想の小さな旅

金田(かねだ)港というのを知っていますか。
三浦半島にある、比較的小規模の漁港です。
三浦といえば三崎港が有名で、
いつも多くの人で賑わっています。
ところが金田港は
知る人ぞ知る漁港という感じなのです。

金田港では原則として
毎日曜、朝市が開かれます。
早朝5時から7時半まで。
この2時間半の間だけ、
新鮮な魚を現地値段で買えるのです。
大量の魚介類がわずか2時間半で
すっかり売れてしまうのですから、
その人気ぶりを想像してもらえるでしょう。

そしてもうひとつの楽しみがあります。
市場(いちば)の2階が簡単な食堂になって、
朝食を食べることができるのです。
たとえば朝定食は500円。
目の前は海で、客は主に地元の人で、
むかし懐かしい朝ごはんをゆっくりと食べる。
ただしそのためには
多少早起きをしなければなりませんが。

金田港はほんの一例でしょう。
日本全国には知る人ぞ知る
小さな漁港が数多くあるはずです。
私は少しツムジ曲がりなのか、
人の少ない、あるいは人の居ない場所が大好きなのです。
名所旧蹟も結構ですが、
あまりの人の多さに、
必ず避けることにしています。

観光客がまったく居なくて、
気分が良くて、眺めが良くて、
そして必ず地元のおいしいものにありつけるところ。
それが名も知らぬ小漁港です。
暇人の夢想としては、
北は北海道から南は沖縄までの、
小さな小さな漁港を訪れる旅を、
ゆっくりと時間をかけてしてみたいものです。

漁船が十数隻、民宿が1軒あるだけの小漁港なんて、
まさしく理想ではないでしょうか。
そして漁港の近くには必ず魚屋があります。
この魚屋と仲良くなっておけば、
自宅からFAXやメールでやりとりをして、
その時期に美味しい魚を
自宅に送ってもらうこともできるのです。
これはまさに一粒で二度美味しい旅となるでしょう。

旅とは人から与えられるものではありません。
自分で創るものなのです。


←前回記事へ 2004年8月4日(水) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ