服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第674回
ノオ・ネクタイへの第一歩

片山淳之介を知っていますか。
実は福澤諭吉のペンネーム。
慶応3年(1867年)に
『西洋衣食住』という本を出した時、
この名前を使っています。
『西洋衣食住』は日本にはじめて
西洋のファッション知識を伝えた書物なのです。
もちろん「コラル」に「ネッキタイ」を結ぶことも
紹介されています。
今からざっと140年前のことです。

私もたいていはシャツのカラーに
ネクタイを結びます。
なにはともあれ、
最低限の着こなしが出来るようにと思うからです。
つまり気持としては
ネクタイにすっかり頼りきっているのでしょう。
しかし時にはネクタイを忘れてみませんか。
シャツを着、スーツを着、ネクタイを外してみる。
たったこれだけでドレス・アップしようとするところから、
新しい知恵と発想が生まれるのではないでしょうか。

単なるネクタイ不要論ではなく、
新しい着こなしを創るためのステップとして、
ネクタイを外してみたいのです。
たったそれだけのことで、
たちまち襟の具合が気になってくる。
第一ボタンを留めるべきか、外すべきか。
外すとするなら、襟の形をどのように保つべきか。
少なくともシャツや襟への関心が高まることは
間違いありません。
このちょっとした実験も、
おしゃれ感度を磨くには最適のものでしょう。

そしてまた貴重な助け舟として、
小型のスカーフがあります。
ダークな色調の、無地のスカーフ。
これを首に直接結んでみる。
ちょうどアスコット・スカーフのように。
一度、ネクタイのプレーン・ノット式に結ぶ。
次に長い一方の端を結び目に通して、
後から前に重して完成。
首元に自然の量感が生まれますし、
結んでいる状態でゆるむことがありません。

つまりいきなりネクタイを外してしまうのではなく、
ひとつのステップとして
スカーフを使ってみる。
しかもそれはドレス・アップのためのスカーフ。
そんな着こなしがあっても良いのではないでしょうか。
もちろん次はノオ・ネクタイでの
完璧なスタイルをめざしたいのですが。


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