服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第673回
粋かレトロか七輪美食

最近、七輪を使ったことがありますか。
まさか七輪とは何だ?
とおっしゃることはないでしょうね。
私、今あの七輪が欲しい、使ってみたい。
それもうんと小型の七輪があるといいなあ。
テーブルの上でもスマートに扱えるような七輪なら理想的。
もちろん炭も小さなものを使うわけです。
仮に大きくても小さく割って使えば良いのですが。
もし小さな七輪があったなら、
片面だけをさっとあぶった海苔が食べられる。
モチが焼ける、小魚が焼ける、椎茸が焼ける。
油揚げをさっと焼いて
少量のしょう油で食べるなんてこともできるわけです。

七輪は本当は「七厘」で、
これは経済的という意味からきています。
わずか七厘で煮炊きができるということなのです。
葉書が1銭5厘の頃の七厘ですから、
今の時代に換算するなら、
25円位のところでしょうか。
たった25円で煮るも炊くも
自由自在という意味だったのです。
七輪は主として関東での呼び名で、
関西では「かんてき」と言う。
「かんてき」はもともと怒りやすい人を指す方言で、
これを熾(おこ)りやすいにひっかけた冗談なのです。

そもそも「熾(おこ)る」という言葉を
耳にしなくなって久しい。
言うまでもありませんが
これは炭火などがまっ赤になって
よく火がつく状態のことです。
炭は組むと言います。
ただ重ねてはいけないのですね。
下から上に風がよく通るように組むと、
必ずよく熾(おこ)ります。―
さて、上手な炭火のつけ方は。
ところが最近は簡単な着火剤がいくつもあって、
そんな心配は不要なのだそうです。
嬉しいような、ちょっと淋しいような。

これは小さくて丈夫な、
蓋のできる容器があれば良い。
不要の炭をここに入れておく。
つまり消し炭です。
これ次の時の着火剤代りにすれば、
すぐに火がつけられます。
好きなものを好きなだけ炭火で焼くのは粋なものです。
でも、絶対に注意しなければならないのは、換気。
一酸化炭素で頭が痛くなったりしませんように。


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