服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第699回
マンダリン・ジャケットを部屋着にしよう

羽織を着る機会がありますか。
きちんと和服を着ることでもない限り、
ふだんはまず羽織を着る折はありませんね。
でも、外国の、
比較的ゆとりある人たちのなかには、
意外にも羽織(ハオリ)の愛好家がいたりするのです。
羽織はシルクで、ルーズなシルエットだから、
部屋着にぴったりだというのです。
まさに、所変れば品変る、であります。
しかも裏の絵模様がきれいだとして、
わざわざ裏を見せるようにして
着ることさえあります。

部屋着で思出したのですが、
私にも似たような経験があります。
いつだか中華街の雑貨店で
マンダリン・ジャケットを見つけたのです。
中国の、立襟の、美しい柄物の上着。
中国での正しい呼び名が何であるか知りませんが、
今、とりあえず
「マンダリン・ジャケット」ということにしてみましょう。

マンダリン・ジャケットは
とくに珍らしいものではありませんが、
私が見つけたのは、綿入れの上着。
羽織ってみると温かいし、
本物の絹ではないので、値段も安い。
全体にゆったりしているので、
厚手のスェーターの上からでも楽々と羽織れる。
なるほどこれは具合がよろしいと、
部屋着として使ったことがあります。

今、日本では
エスニック・フードが流行なのだそうですが、
もっとエスニック・ファッションに
目を向けても良いのではないでしょうか。
少し視点を変える、少し視野を拡げてみる、
そうするとユニイクなファッションが
たくさんあることに気づくことでしょう。

アジアの服、インドの服、ロシアの服・・・。
外国の服はちょっとねえ、とおっしゃるのですか。
だって今着ているスーツも、
もとを正せばれっきとした外国の服ですからね。

私が以前から好きな服に、
チロリアン・ジャケットがあります。
その国の服を着ることは、
その文化に近づくことでもあり、
少なくとも関心が高くなることは
間違いありません。
まず、最初は部屋着だと考えて、
少し馴れたところで、
タウン・ウェアにするのがコツでしょう。


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