服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第700回
スェーターの愛し方と着こなし方

ヒゲを剃るときは、何を使いますか。
もちろんカミソリですね。
カミソリにも大きく二種類あって、
手動式と電動式があることはご存じの通り。
表現を変れば、
ウェット・シェイビングとドライ・シェイビングで、
これは好みの問題でしょう。

さて、手動式カミソリのなかでも、
もっともよく使われるT字型カミソリ、
これがなかなか役に立つことがあるのです。
極端な話、
簡便な使い捨て式のT字カミソリだってあります。
でも、けっして捨てないで下さい。

スェーターを長く着ていると、
よくこすれるところが毛玉になることがあります。
むろん“ピリング”と呼ばれるもので、
美しいものではありません。
たとえば木目(もくめ)に置き換えるなら、
ささくれで、木材の質によっても変ってきます。
ニット・ウェアについても
似たようなことが言えるでしょう。
一般に、良いニット・ウェアほど、
毛玉が出来にくい傾向があります。
言葉を変えるなら、
繊維がより長く、より細く、より良い場合、
毛玉にはなりにくいのです。

けれども現実には
毛玉を完全に避けることは出来ません。
では、毛玉になったらどうするか。
ここで登場するのが、T字カミソリ。
毛玉の部分に軽く走らせると、あら不思議、
消えてしまいます。
まるで手品のようです。
市販の毛玉取り器がないではありませんが、
私にはT字カミソリのほうが
使いやすいように思えます。

ニット・ウェアの表面に対して、
カミソリの刃が水平になるように置くのがコツです。
しかもこの方法は
ニット・ウェア以外にも応用できます。
たとえばツイードなどの表面に
毛玉が出来た時にも、
同じ要領でやってみて下さい。

スェーターやカーディガンがシワになったなら、
軽くアイロンをかける。
これは前にお話をしたと思います。
シワを伸ばし、毛玉を取って、
美しい姿で着こなしましょう。
こんなふうに日頃から可愛がってやることで、
よりいっそうスェーターが似合ってくるのです。


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