服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第723回
ボタンの留め方と外し方

2つボタンと3つボタンでは
どちらがお好きですか。
これも最終的には好みの問題なのでしょう。
もちろんシングル前上着についての、
2つボタン型と3つボタン型の
違いのことなのです。

ビジネス・スーツをはじめとして、
たいていはスーツはシングル前の場合、
2つボタンか3つボタンが多い。
いや、スーツばかりでなく、
ジャケットについても同じことが言えるでしょう。

「この間までは3つボタンが流行だったが、
 今はむしろ2つボタンが新しい」
そんな考え方もあるようです。
けれども私自身は、
本来はボタンの数は流行によって決まるものではない、
と考えています。
なぜなら私は40年前にも
3つボタンを着ていましたし、
今も3つボタンを着ているからです。

これは2つボタンは絶対に着ない、
という意味ではありません。
どちらかといえば3つボタン型を着ることが多い。
もちろん2つボタン型を着ることだってあります。
要するにこれはスタイルの問題なのです。
よりモダンなスタイルよりクラシックなスタイル。
むろん前者が2つボタン、後者が3つボタン。
これはちょうどパンツの折返しの有無と似ています。
近代派に対する正統派ということでしょうか。

2つであろうと3つであろうと、
ボタンにはボタンのルールがあります。
それは無理なシワを作ってはいけない、
ということです。
たとえば3つボタンを全部留めてしまうと、
一番下のボタンを中心に、
左右にシワが出ることがあります。
これはルール違反なのです。
常にシワが出来ないことが、
最上の状態だと考えましょう。

立っている時、歩いている時はボタンを留める。
そして椅子に深く腰掛ける時にはボタンを外す。
この判断もまた、
ボタンを中心としたシワが出来るか出来ないかが、
基準になります。
正しいおしゃれは、ボタンひとつからでも
はじまることがあるのです。


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