服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第744回
新しいフォーマル・ウェアを創ろう

昼間の正しいフォーマル・ウェアが何であるか、
知っていますか。
もちろんそれはモーニング・コートです。
ビフォア・シックス(午後6時以前)の礼装なら、
たいていの場合正装として通用します。
黒いモーニング・コートにグレイの縞ズボンで、
シルバー・グレイのネクタイと
ライト・グレイのチョッキを組合わせることは
ご存じの通り。

けれどもそこまで正装する必要はあるだろうか、
と考える場合もあるでしょう。
そんな時に登場するのが、
セミ・フォーマル・ウェア。
黒い上着に縞ズボンという組合わせ。
俗に「ディレクターズ・スーツ」と呼ばれているものです。
アクセサリーはモーニング・コートに準じます。

さて、ここでつむじ曲りの私は
名案(?)を思いつく。
モーニング・コートの上と下を
ひっくり返しても良いのではないか。
もうすっかり手あかのついた言葉を使うなら、
逆転の発送。
グレイの縞の上着に黒のトラウザーズ。

「縞ズボン」は正しくは“ストライプド・トラウザーズ”。
業界の言葉では「コールズボン」と言います。
むかし昔、縞織りの、丈夫な生地を
パンツに使うのが流行したのが、
その発端なのです。
そして古い時代の衣裳を尊重するということから、
縞ズボンが正装と考えられるようになったのです。

今はもう21世紀ですから、
新しいフォーマル・ウェアがあっても
良いのではないでしょうか。
ストライプド・ジャケットにブラック・トラウザーズ。
上着のデザインはモーニング・コートにならって、
片前(シングル)の1つボタンで、
ボタン位置はかなり高くする。
もし可能ならチョッキも共地にする。
新しい時代の、新しい昼間の礼装。

待てよ、もしそれが礼装になるなら、
グレイの無地の上着とチョッキがあったなあ、
という人もいるでしょう。
あとは黒無地のトラウザーズを合わせて、
シルバー・グレイのタイを結べば良いわけです。
頭の良い人ほどおしゃれ上手というのは
間違いありません。


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