服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第743回
シルクのスリーシーズン・コート

シルク地のコートを着たことがありますか。
時折、女性用コートに
シルク地のそれがあったりします。
が、男性用は珍らしい。
私は長い間シルクのコートを探していたのですが、
やっと見つけました。

では、なぜシルクのコートなのか。
それは単純明快に、軽くて嵩ばらない
という利点があるからです。
シルクのシャツを素肌に着ると分ることですが、
意外にも適度な保温性を持っています。
ウールやカシミアとはまた別の温かさでしょうが、
逆にいえばより幅広い季節に対応できる
コートでもあるでしょう。
たとえば春先の旅行着などにも最適でしょう。

たしかに着ていて軽い。
少なくとも肩の凝るようなことはない。
さらにはウールなどのコートに較べて脱ぎ着が楽。
脱いだ後の置き場所にも困らない。
極端な話、小さく畳んで
鞄の中に入れておくこともできるでしょう。
ただし鞄については、
少し考えておくところがあります。
シルクのコートを着た時に、
あまりスポーティーな
ショルダー・バッグは似合わない。
ショルダー・ストラップに
厚いゴムなどが付いていると、
いつの間にかシルクの表面を
傷つけてしまうことがあるからです。
シルクは天然繊維の貴婦人といった一面がありますから、
なるべく大切に扱うべきだと思います。

さて、私が見つけたのは
フランスの「カルヴァン」というブランド。
ただし縫製自体は日本製です。
色は黒で、やはりレザーのトリミングが
あしらわれています。
デザインはシンプルなスタンド・カラーで、
かなり着こなしの範囲が広いものです。
着脱自在のライニングが付いていて、
これも黒の毛皮。
素材はラビットですが、
これをつければ真冬の街でも軽快に歩けるでしょう。

真冬には毛皮のライナーを付けて、
春には表地のシルク・コートだけで着る。
まさにスリーシーズン・コートとして活用できます。
「丸善」(TEL 3273-3316)で、12万2850円。
今、私は真剣に買うべきか否か、
迷っているところです。


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