服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第748回
「好き」は魔法の言葉です

「下手の横好き」という言葉をよく使いますか。
私もたまにしか使いませんが、
便利な表現だと思います。
自分の趣味について、
他人からほめられた時。
「いえいえ、下手の横好きという程度で・・・」
とお茶をにごすことが出来ます。

でも、私はこれを一度ひっくり返してみたいと思います。
「好きこそ物の上手なれ」
と言うではありませんか。
絵が上手になりたい、写真が上手になりたい、
カード・マジックが上手になりたい・・・。
人それぞれなにかひとつくらい、
上手になりたいものがあるでしょう。
そしてその出発点は「好き」ということなのです。
「好き」だからこそ
ひとつのことを続けられるし、夢中にもなるし、
結局のところ上手になってゆくわけです。

誰であっても
「私は○○が上手です」とは言えないでしょう。
が、「私は○○が好きです」とは言えます。
たとえば「私は書(しょ)が好きです」。
これを実際に口に出して行ってみることが大切です。
「私はギターが好きです」といった具合に。
友達や知合いには話してみる。
自分が言った「好き」という言葉を、
自分の耳で聴き、脳細胞に吸収されてゆくからです。
これを繰り返すうちに、
「好き」が本当になり、
ますますその傾向が強くなるでしょう。

男のおしゃれもまったく同じことです。
「自分の身なりをきれいにしているほうが好きだなあ」
という程度で、最初は良いのです。
仮に奥さんから「これを着なさい」と言われても、
当の本人が心底そう思っていないと、
何にもなりません。
「ぼくはおしゃれなほうが好きでねぇ」。
そうそう、その調子です。
そんな気持を常に持っていれば、
必ずやどんな服でも様(さま)になってくれるでしょう。

さらには人と上手につき合う術(すべ)も、
まったく同じでしょう。
「私は○○さんが好きです」
一度、声に出して言ってみて下さい。
たぶんいつの間にか
親しい友人同士になっているに違いありません。
上手に生きるには「好き」と一言、
言ってみることです。


←前回記事へ 2005年1月13日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ