服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第767回
新発想は路線バスで

ふだんの交通手段は何ですか。
電車、地下鉄、徒歩、マイカー、タクシー・・・。
私はもっぱら電車と徒歩を利用しています。
けれども最近見直したいのが、路線バス。
バスにも一長一短はあるでしょうが、
「スロー・ライフ」には
最適の交通手段だと思います。

一度、始発点から終着点まで乗ってみると
分ることですが、
思いがけない道を通ったりするのです。
また、意外な地点と意外な駅とが結ばれていたりする。
そして当り前ですが、
始発点と終着点はたいてい便利な駅とつながっています。
つまり、万一迷ったような場合でも、
終着まで乗っていれば、
必ず勝手知ったる場所に着けるのです。

さて、路線バスで楽しいのが、途中下車です。
とにかく外の様子が見えるわけですから、
興味があるところ、
心が動く場所で降りてしまう。
するとそこは近いけれど、
知らない所であったりするのです。
バス停を中心にゆっくりと散歩してみる。
小さな和菓子屋を見つけるかも知れません。
古道具屋があったり、
今は少くなった町の喫茶店を
発見するかも知れません。
時間にすればわずか30分ほどの散策でしょうが、
自分だけの迷路を見つけたような、
喜びがあるはずです。

それはど遠くはないのだけれど、
ふだんはまず行かない場所。
実は、そんな場所が
たくさんあることに気づくでしょう。
それには路線バスの途中下車がぴったりです。
わずか200円位で、
好きなように乗ったり降りたりできるのですから。

知らない町散策は、
頭のなかを真空にしてくれます。
短い時間ですが、日常のなかの非日常が
そこに出現します。
息というものは、
すべてを一度吐いてしまうからこそ、
新しい空気を吸うことができる。
これが深呼吸というものです。
ところがふだんは息を吐ききってはいないので、
新鮮な空気を大量に吸うことができない。
頭のなかもこれと同じで、
時にはすべてをカラッポにすることによって、
新しい発想をとり入れることができるのです。
知らない町散策はそのための特効薬だと思います。


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