服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第766回
石けんと頭のおしゃれ

無人島に持って行く一冊の本は何ですか。
これはもう言い古された問いですね。
もちろん人によって違うし、
時と場合によっても違ってくるでしょう。
つまり「一冊」とはいいながら、
実際には何冊にもなってしまうのです。
私もそのひとりなのですが。

さて、無人島へ持って行く一冊の本。
『ペアーズ・サイクロペディア』でしょう。
これはミニ総合百貨辞典とでも言えばいいでしょうか。
小型の一冊本であるにもかかわらず、
実に内容が盛りだくさんで、詰っているのです。
しかも読んで愉しい辞典なのです。
ただし英語の苦手な私としては、
もう一冊英和辞典が欲しいところなのですが、
それはさておくとして。

とにかく歴史からスポーツ、
音楽、文学、園芸、ワインに至るまで、
森羅万象といいたいほどの内容が詰っています。
最初から最後までゆっくり読んでいけば、
たぶん10年はかかるのではないでしょうか。
無人島にはぴったりだと思います。
もちろん興味のあるところを
ひろい読みするのも良いでしょう。
そしてもうひとつ、
昼寝の際の枕にちょうど良い高さでもあるのです。

「ペアーズ」はもともとイギリスの石けんの名前。
天然原料だけを使った洗顔石けんが有名で、
むかしはA&Fペアーズという会社だったのです。
では、石けんと辞典と
いったい何の関係があるのか。

ペアーズの創業者は
アンドリュー・ペアーズで、
1789年に美容院を開いて、成功。
やがて石けんなども売出すようになる。
この創業者のひ孫嬢と結婚したのが、
トーマス・J・バラットという人物。
T・J・バラットはなかなかの人物で、
1897年に「ペアーズ・シリング・サイクロペディア」を
宣伝を兼ねて出したところが、
大好評となったものです。
それ以来、毎年改訂版が出て、
今に至っているわけです。

今はペンギン・ブックスから出ていて、一冊、4,158円。
「丸善」(TEL:5288-8881)で購入可能です。


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