服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第769回
美しいシルエットの秘密

今回は、読者の岸田 隆 様から
サスペンダーについてメールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■ 岸田 隆 様にいただいたメール

件名:サスペンダーの記事を読ませて頂きました。

突然メール送ります。
出石さんのサスペンダーの記事
読ませて頂きました。

今では若い人が
サスペンダーをしていることは珍しいことです。
今の若い人たちはサスペンダーを知らないか
俺には縁がないよと、町では後に垂らして
これがファッシヨンだ!なんて。
これはサスペンダーが
本来のズボンを吊る機能が煩わしいからですね。

そこで「吊り帯」と呼ぶ
機能性の良いサスペンダーを私は作りました。
そして特許をとりました。
これはサスペンダーの概念を一新する物です。
ホームページをみてください。
よろしければ
感想を頂ければ嬉しくおもいます。

☆岸田 隆☆
kishida-takashi
http://gold.ap.teacup.com/turitai/


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さり、
ありがとうございます。
心より御礼を申上げます。
また日頃からお目通し下さっているご様子にも、
重ねて感謝致します。

新方式のサスペンダー
「吊り帯」を考案なされたとのこと、
興味深く拝読致しました。
要するにサスペンダーと、
パンツ内部のファスナーを
一体化させるアイディアですね。
たしかにこれは今までになかった発想だと思います。
腰裏部のファスナーを後へ閉めると、
サスペンダーが固定され、
前へ開けると開放される。
しかもサスペンダーの一端とつながっているので、
パンツがずり落ちるようなことはない。
名案ですね。

そもそもズボン形式が発明されて以来、
人間はそれをどう固定しておくかに、
頭を悩ませて来たものです。
なぜなら地球には引力があるからです。
シャツや上着は着ていても、
自然に落ちることはありません。
ところがすべての「脚衣(きゃくい)」は
常に引力と戦う必要がある。
そのために肩紐で吊しておくか、
あるいは腰帯で締めておくかしたわけです。
そして時代とともに
前者はサスペンダーとなり、
後者はベルトとなったのです。

さて、私自身はどうなのか。
スリーピース・スーツを着る時には、
まず例外なくサスペンダーを使います。
スーツでなくても、
チョッキを重ねる場合には、
サスペンダーのほうが自然だと思います。
ウエスト部分での重なりが少なくなるからです。
一方、チョッキを省略した着こなし方の場合には、ベルト。
なぜなら、サスペンダーが見えてしまうことには、
どうも抵抗があるからです。

もちろん理想だけを言えば、
サスペンダーもベルトもなく、
パンツだけが身体にフィットして固定されることでしょう。
これには申し分ない体型と、
申し分ないテイラーとが必要になってきます。
それはともかくとして、もっとも大切なことは、
各人各様、いかに美しいパンツのラインを保つか。
シルエットや丈、バランスを含めて、
美しいパンツとして穿きたいものです。


←前回記事へ 2005年2月11日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ