服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第772回
ブルーとグレー、どっちがおしゃれな色か

ブルーにするかグレーにするかで
迷ったことがありますか。
男の服、ことにダーク・スーツに関しては、
ブルーかグレーということが多くなります。

ファッションについては、
「紺に入り紺に終る」という言葉があります。
紺は初心者向きであると同時に、
上級生向きでもありますよ、という意味でしょう。
でも、この表現にならって、
「グレーに入りグレーに終る」といっても、
それほど大きな間違いではないと思います。

結局のところ、
ブルーのスーツとグレーのスーツでは
何が、どう違うのか。
会社の地位にたとえるなら、
ブルーは社長であるのに対して、
グレーは会長といった観があります。
ブルーは現役の頂点であるのに対して、
グレーは大所高所から全体を眺める、
といった違いでしょうか。

ブルーは有彩色であるのに対して、
グレーは無彩色であります。
前者は「さあ、おしゃれしましょう」と元気いっぱい。
対するグレーは
「そろそろ卒業だな」という悟りに似た心境
とでも言えば良いでしょうか。

かなり経験を重ねたおしゃれの上級生が、
ミディアム・グレーのスーツをさらりと着こなす。
これはひとつの到達点だと思います。
それほどに完成されたおしゃれとなります。
その意味においては
ブルーよりも優っているかも知れません。
着こなしの極意があります。

それはさておき、
男も大人の心境に達したなら、
自分の基本色を持つべきです。
ブルーならブルー、グレーならグレー。
いつもブルーのスーツを着るのに慣れていれば、
組合わせにも巧みになり、
結局のところ似合ってくる。
「グレーは利の色だよ」という思い込みと自信があれば、
より優れた着こなしが出来るのも当然でしょう。

シャツやネクタイ、アクセサリーについても、
無駄がなく、効率よく活かすことができるでしょう。
ブルーかグレーか。
これは単純に思えて、
その実、大切な選択の第一歩なのです。


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