服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第783回
大統領のブルー・ジーンズ

第39代アメリカ大統領を知っていますか。
もちろんジミー・カーターですね。
1977年から1981年の間、大統領をつとめました。
フォードの後、レーガンの前の大統領であります。

そのジミー・カーターがある時、
ジーンズ姿で登場したことがあります。
ダンガリー・シャツにブルー・ジーンズ。
典型的なカジュアル・スタイルです。
たいていのアメリカ人にとってのブルージーンズは、
いわば国民服といった印象があるのでしょう。
ジーンズ姿の大統領は
歓迎される傾向があります。
それは若々しく、健康で、
常に民衆の立場でものごとを考えている、
というメッセージでもあるのです。

近代のアメリカ大統領のなかで、
一度もブルー・ジーンズを
穿かなかった人物を探すほうが
難しいのではないでしょうか。
それほどに大統領のジーンズ姿は
一般化しているのです。
言い換えれば、ブルー・ジーンズは
実に効果的なメッセージになっているのです。

好きな服を上手に着こなすことは、
自分にとって気持の良いことである。
でも、その一方で、無言の言葉でもあるのです。
つまり何かを着ることは、
何かの気持を伝えることでもあるのです。

仮にジーンズが若さのメッセージだとしましょう。
すると「私は今、若いという気持を伝えている」と思う。
つまりメッセージが自分にも反映してくるのです。
実はこれがとても良い効果を生んでくれるのです。

まあ難しいリクツはともかく、
もう一度おしゃれ着としてのジーンズを
考え直してみましょう。
ふだん着としてではなく、
おしゃれ着としての、
メッセージ力を持つ服装としてのジーンズを。

さて、そこであらためて
洗いざらしのブルー・ジーンズの
心地良さと快適さを
見直そうではありませんか。
新しいジーンズを買って、
穿いては洗い、洗っては穿く。
自分好みのジーンズを育てるのは
なかなか楽しいものです。


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