服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第789回
ジーンズに似合うネクタイです

この広い世の中には
結ばないネクタイがあるのを、
知っていますか。
細長い帯を結んでこそネクタイとなる。
けれども結ばなくとも良いネクタイがあるのです。
それは“ボーロ・タイ”。
時に“ボーラ”と言うこともあります。

そうです、細い革紐を編んで、
スライダーに通して留める式のネクタイ。
決して結ぶわけでもなく、
またネクタイではないと
決めつけられるものでもありません。
つまり、結ばないネクタイであります。

“ボーロ・タイ”bolo taiとは
変った名前ですが、
もともとはスペインで使われた投げ網の一種とのこと。
投げやすく、また目的物にからませやすいように、
先端を丸く結んである。
この投げ網をスペイン語で
“ボーラ”bola と呼んだらしい。
で、このボーラを想わせるところから、
“ボーロ・タイ”の名が生まれたのだそうです。

アメリカはアリゾナ州の
ヴィク・サーサースタッフというカウボーイの発明。
彼は粋で、しかも手綱さばきの邪魔にならない
ネクタイということから、思いついた。
1940年代のことです。
1971年には正式に、
アリゾナ州のオフィシャル・タイ(?)に
定められたという。
アリゾナ州ではれっきとした
紳士の小道具とされるのでしょう。

なにもアリゾナ州へ行かなくても、
カウボーイにならなくても、
ボーロ・タイをあしらうことは出来るでしょう。
ただし、あくまでも
ウェスタン・スタイルの一種だと考えるべきでしょう。
できることならシルバーの“クラスプ”に通し、
両端を“メタル・ティップ”で飾ったボーロ・タイを。

デニムのウェスタン・シャツには
最適ではないでしょうか。
あるいはジーンズで
ちょっとしたおしゃれを楽しむ時にも。
ただしウェスタン・シャツにジーンズでは、
あまりに形を整えすぎです。
ボーロ・タイを取り入れるなら、
ウエスタン・ルックは他にひとつだけ。
それ以外はむしろ異った要素の服装を選ぶべきです。
ひとつの要素だけで揃えない、
これも大切なおしゃれ術です。


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