服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第794回
快楽のカフェ・カプチーノ

カプチーノはお好きですか。
私は大好きです。
でも、カプチーノとは何かを先に
お話しすべきでしょう。
正しくは“カフェ・カプチーノ”
caffe cappuccino 。
濃いコーヒーの上にクリームをのせた
コーヒーのことです。
もちろんこのクリームと一緒に
ゆっくりコーヒーを飲んでゆくわけです。

さて、このクリームが何であるか。
ある人は生クリームであると言い、
ある人はミルクを泡立てたものだと言います。
正しくはミルクを泡立ててクリームにしたもの。
これが生クリームだと
“カフェ・コンパンナ”になります。
ただしむかしの日本では、
生クリームを浮べたものを
「カプチーノ」と呼んだ時代があるのです。
所変れば品変る、ということでしょう。

ところがなぜ“カプチーノ”の名前が付いているのか。
これはカプチン修道会の人たちが被る、
白い大きな帽子からきています。
あの白いクリームを見ると、
白い帽子を想像するからなのです。

カプチン修道会は
聖フランチェスコ会から分かれ、
マッテオ・ダ・バスチオにより創られた、
この上なく戒律きびしい宗派。
彼らはカプチーノなんて
飲まないのではないでしょうか。
それはともかくカプチーノが
キリスト宗派から出ていることは間違いありません。

さて、そこで紹介したいのが、
「メリタ・ラテカップ」(2,079円)。
銀座のソニー・プラザで見つけました。
ラテカップとは言うものの、
専用の、細長い、電動式の泡立て器が付いています。
つまりミルクをこのなかに入れて、
スイッチを押すと、
やがてミルクが泡立ってくる。
それを濃いコーヒーに上から静かに注げば、
美味しいカプチーノの完成です。
しかも電池内蔵ですから、
コンセントの必要はありません。
極端な話し、アウト・ドアでも、
自分でカプチーノを作ることだって、
不可能ではありません。
少し甘いクリームと、
うんと濃いコーヒーの競演。美味い。
でも、ときには清貧生活を送っている
カプチン修道士たちのことも思ってみるべきでしょう。


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