服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第802回
香りの演出法

リネン・ウォーターを知っていますか。
直訳すれば「麻の水」ということでしょうか。
でも、もともとはフランス語で
“オード・ランジュ”eau de linge 。
“ランジュ”はたしかに「麻」の意味もありますが、
正しくは「麻生地類」。
たとえばナプキンやテーブル・クロス、
タオルやシーツ・・・。
とにかくむかし、
麻生地で作られていたものを総じて
“ランジュ”と呼ぶのです。
同じように“ランジェリー”lingerie もまた、
かつては麻で作られたことを示しています。
本来は“ラン”lin が「麻」の意味なのです。
ホテルなどの「リネン室」が、
そのような布地類をしまっておく部屋であることは、
ご存じの通り。

さて、リネン・ウォーター。
要するにリネン類に使うための、
さわやかな香りのある水のことなのです。
もっとも簡単な使い方は、
部屋のカーテンにふきかけてみる。
リネン・ウォーターはまさしく水そのものですから、
スプレー容器などに移し替えて、
原液を直接ふきかけるだけで良いのです。
ほのかな、気持の良い香りが部屋に流れてきます。

あるいはハンカチに
アイロンをかける時にも使えるでしょう。
霧吹きのなかに、水ではなく、
リネン・ウェーターを入れる。
で、ごくふつうにスプレーをして、
アイロンをかける。
もちろん香りの良いハンカチが生まれるわけです。
あるいは枕カバーなどにも使えるでしょう。

最近見つけたのは、
フランスの「デュランス」(TEL 042-538-7479)
という名のリネン・ウォーター。
一びん500ml入りで、1,260円。
ラベンダー、ローズ、ジャスミンなどの
香りの種類がありますから、
好みと使用目的とに合わせて選べるわけです。
ラベンダーの香りに安眠効果があるのは、
よく知られたところでしょう。

「目には見えないが、大切なシルエット」
と言ったのは、
かのクリスチャン・ディオールですが、
ふだんの生活のなかで、
上手に香りを使いたいものです。


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