服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第820回
知の遊園地に行こう

古川正雄を知っていますか。
幕末から明治のはじめにかけて、
江戸幕府の艦長であった人物。
また諭吉の弟子でもあり、
福澤塾最初の塾頭でもありました。
が、この古川正雄の足跡がほとんど知られていない。
そこで国会図書館で調べることにしたのです。
国会図書館は新たに整備されて、
明るく、広く、使いやすくなりました。
ところで国立国会図書館、英語で何と言うか。
“ナショナル・ダイエット・ライブラリー”。
不勉強にして知りませんでした。

国会図書館ではまず入館カードを作る。
この入館カードを使って中に入る。
昔はいちいち入館書を書いたものですが、
今はすべてコンピュータ化されています。
検索も貸出しも複写も
すべてカードを通して行う。
そして結論を先に言いますと、実に楽しい所です。
まさに知の遊園地。
原則として日本で刊行された書物は
すべて揃っていることになっています。

まさかこんな古い、珍しい本はなかろうと
コンピュータで探してみると、ある。
たしかに所蔵されている。
これほど愉快なことがあるでしょうか。
パソコンに弱い私が難儀していると、
若い係りの女性が親切に助けてくれる。
これも嬉しいことのひとつ。
そしてまた実に広い。
1冊の本を求めて右往左往。
本館から新館に行き、2階から1階へと降りる。
エレベーターなんてものは使わないで、
階段を登っては降りる。
特別室は2階にあって、食堂は6階にある。
右へ左へ、上へ、下へ。
頭の体操をしながら、身体の体操にもなる。
ダイエット・ライブラリーで
スリミングとはこのことであります。

もし人生に退屈したなら、
図書館に行くことです。
図書館に退屈したなら、
国会図書館に行く。
国会図書館に退屈したなら、
それはもう本当に、
人生に退屈したということです。

ところでどうして古川正雄を調べる気になったのか。
明治3年の『絵入り知恵の環』の著者であり、
この本のなかにはじめて
「せびろ」の言葉が使われているからです。


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