服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第826回
さわやかな足とさわやかな心

タルカム・パウダーを使ったことがありますか。
略して“タルク”とも言ったものですが、
化粧用のごく細かい粉ですね。
むかしは男が髭を剃ったあとに、
たいていこれを使ったものです。
髭剃りあとの肌を
さっぱりと乾かしておくのが
目的だったのでしょう。

それがいつの間にか使われなくなってしまった。
タルカム・パウダーは滑石の粉で、
日常的にこれを吸い込むのはよろしくない、
というのが使われなくなった理由かも知れません。
同じように天瓜粉(てんかふん)も
あまり見かけなくなってしまった。
これはキカラスウリの根を
粉にしたものだそうです。

どうしてこんなにも
粉のことばかりが頭をよぎるのか。
それは素足のままで靴を履きたいと
考えているからです。
コットン・パンツを穿いて、
素足にスニーカーなんて
いかにも気持が良さそうではありませんか。
いや、スニーカーとは限りません。
スリップオン・シューズや
ごく普通のシューズでも、
あえて素足で履く人も少なくないようです。

人はさておき私の場合、
どうも足が湿ったような感じになってくる。
で、こんなときに
タルカム・パウダーや天瓜粉があったらなあ、
とつい思ってしまうのです。
さぞかし気持が良いだろうな、と。
これらの粉は肌を乾かしてくれるだけでなく、
良い匂いに含まれていますから、
文句のつけようがありません。

さて、パウダーの代りになるものは何かないか。
あります。オーデコロン。
原理(?)としては薬用アルコールでも良いのですが、
コットンにしみ込ませて足を拭くと、
実に爽やかに乾いてしまう。
オーデコロンはなるべく香料の少ないものでよろしい。
もし香りの濃度が濃いようなら、
薬用アルコールで薄めて使うこともできるでしょう。

素足に靴を履く。
簡単といえば簡単なことですが、
足をより清々しく、美しい状態に保つこともまた、
おしゃれ心なのです。
つまり本当のおしゃれとは、姿かたちではなく、
いつでも自分の心を清々しく、
美しく保つための方法なのです。


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