服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第827回
ちょっとおしゃれなシャンパンの飲み方

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
平根 昌宜 様から
第796回 小さな幸福のボタンに記載しました
読者の方に投げかけた質問に関して
メールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■平根 昌宜 様にいただいたメール
件名:シャンパン・ボタン

出石様、こんにちは。
宮崎県の平根と申します。
いつも楽しく読ませて貰っています。
これからもおしゃれの為になるお話を
是非お願いします。

ところで、「第796回 小さな幸福のボタン」の回に
シャンパンのコルクの上の
金属性の円盤についてのお話がありましたが、
あれは、フランス語で、
Muselet(ミュズレ:天冠または王冠の意)
と云うそうですよ。

欧米には結構コレクターが居て、
額縁にズラーっと並べたりしているそうです。
銘柄毎に色とりどりで、紋章や肖像など、
確かに捨てるのは勿体なく感じますよね。
そう思いながらも、
使い道を思いつかずに処分していましたが、
ボタンにするのは格好良いでしょうね。
では、長文失礼しました。


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さり
ありがとうございます。
また日頃からお目通し下さっているご様子にも
感謝申上げます。

さて、“ミュズレ”
museletをお教え下さり、
勉強になりました。
博識、博学、素直に尊敬したいと思います。
たしかに「王冠」というのは、納得。
そういえばビール壜のキャップも
「王冠」ということがありますね。

迷った時のシャンパンというわけではありませんが、
シャンパンはたいていの食事に合わせられる。
たとえば鮨のシャンパンも悪くない。
しかも食前酒としてはじめて、
食中酒、そして食後酒としても使える。
実に幅の広い楽しみ方ができます。

正しくは“シャムパーニュ”
champagneでしょうが、
ここでは習慣に従って「シャンパン」とします。
いや、シャンパンのみならず、
広くスパークリング・ワインにも注目したいものです。
イタリアにスプマンテがあり、
スペインにカバがあるのはご存じの通り。

シャンパン
(スパークリング・ワイン)を使ってのカクテルも
おしゃれな飲物です。
よく知られたところでは、ミモザ。
オレンジ・ジュースをシャンパンで割ったもの。
夏向きであり、女性向きでもあります。

おしゃれに関係がありそうな名前では、
“ブラック・ヴェルヴェット”。
ギネス(黒ビール)とシャンパンのカクテル。
両者を同量、同時にグラスに注いで仕上げる。
文字通り「黒ビロード」を想わせるカクテル。

これは以前にも紹介しましたが
「キャパ・カクテル」。
たとえばコニャック一本に対して
シャンパンを二本の割合で混ぜる。
これにカットした桃を加えて、完成。
1940年代の中頃、
写真家ロバート・キャパが
ヘミングウェイたちと開いたパーティの席上、
苦肉の策で考えたカクテル。
場所は戦中のロンドンで、
酒がそう簡単には手に入らない時代で、
それをなんとか苦労して集め、
大きな鉢に入れて、皆で飲んだのだそうです。
「シャンパンにあきたということは、
 人生にあきたということ」。
どこかでそんな言葉を聞いたことがあります。


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