服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第829回
一枚のハンカチからはじめましょう

麻のハンカチを持っていますか。
白麻のハンカチを持っていますか。
白麻の無地、手拭き用の、
ごく普通のもので良いのです。
もしも探せないようなら、
ぜひ一枚買い求めて下さい。
上を見ればキリがありませんが、
まあ3000円位で手に入るでしょう。

さて、一枚の麻ハンカチをどうするのか。
大きく拡げておいてから、
最初三角形に畳みます。
二等辺三角形の両端を、
1センチほどずらして重ねます。
もう一度同じことを繰返す。
と、ハンカチの端に
小さな3つの山(やま)が出来るでしょう。
これを上着の胸ポケットに入れておくのです。
なんでもないことですが、
爽やかな印象のアクセントが
生まれるはずです。

このリネンのハンカチ、
もとを正せば手拭き用ですから、
必要とあれば手を拭いても良いのです。
一度畳んで線が入っていますから、
畳み直すにも手間はかかりません。
またそんなふうに一度手拭きに使って、
柔らかい形になったポケッチーフも自然で、
美しいものです。
一日のうちで手を洗い、手を拭くことは
二度三度あるでしょう。
そして二度目にハンカチを使う時、
すっかり乾いていることに気づくでしょう。

麻(リネン)は爽やかな感触に加えて、
実に乾きやすい素材でもあるのです。
よし、それでは麻のシャツを着てみようか、
という気持にもなってくるでしょう。
この場合のシャツは
素肌の上に直接着ることをおすすめします。
あるいは麻の下着の上に重ねる方法もありますが。
さて、実際に麻のシャツを着てみると、
その快適さに驚くことでしょう。
多少汗をかいてもすぐに吸収して、
さらには乾いてくれる。

人間の欲とは果のないもので、
シャツがこれほど心地良いのなら、
上着も着てみようということになる。
麻のシャツに麻のジャケット。
つまり、リネン・オン・リネンとでも
言うべきでしょうか。
これはもう本当に、爽やかそのものです。
一枚のハンカチからはじまるおしゃれ
ということもあるのです。


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