服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第852回
もう一度青春がよみがえる上着

マドラス・チェックを知っていますか。
色鮮やかな、大胆な格子柄で、
夏の太陽のもとで映える柄のひとつでしょう。
“マドラス”madras の名は
インド南東部、
タミル・ナドゥ州の地名に因んだものです。
マドラスはまた港町でもあり、
もともとは船乗りたちが頭に巻く
ターバンの生地であったとのこと。
むろんその時代には主として絹地で、
やがてはコットンでも織られるようになったものです。
と同時に、柄についてもチェックだけでなく、
かつては縞柄や無地なども織られていたようです。

昔むかしのマドラスは、
手染め、手織りの生地も少なくなく、
着ているうちに色褪せてくる。
「これが本物のブリーディング・マドラスだ」
などと感激しつつ、
自慢に思ったりしたものです。
今は主として近代的な染色方法であり、
ほとんど褪色(たいしょく)はありません。
一般にマドラス・チェックといえば
スポーツ・シャツが多い。
けれども私としてはぜひ一度、
マドラス・チェックのジャケットに
袖を通してもらいたいのです。
白いシャツや白いコットンパンツに合わせて、
太陽の下を颯爽と歩いてみようではありませんか。

さて、マドラス・チェックのジャケットを
どこで入手するか。
「ケント・ショップ青山」
ここは懐しいVANの空気が
今なお満ちている店ですが、
好みに合わせて、
パターン・オーダーが可能なのです。
一着、4万3千円。
まず生地見本のなかから
好みのマドラス・チェックを選びます。
次にボタンと裏地も
サンプルの中から選ぶことが可能です。
そしてもうひとつ、
VANタイプとKentタイプ、
そのどちらかを選ぶ。
どちらかといえば後者のほうが
大人向きということになるでしょうか。
もちろんパターン・オーダーですから、
体型にぴったりと合った上着に仕上ること、
言うまでもありません。

マドラス・チェックを着るか否かはさておき、
古きよき時代の匂いを嗅ぎたい時には、
ぜひおすすめのショップだと思います。

「ケント・ショップ青山」
TEL:3403-6962
E-mail:zephyrus-umeda@nifty.com


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