服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第859回
ノオ・ネクタイ操縦法

男がもっとも粋(いき)に見えるのは、
どんな時だと思いますか。
ドレス・アップしてパーティーに行く。
それから家に帰ってソファーに寛ぎ、
蝶ネクタイを外す瞬間だと、私は考えています。
この時、そもそも
解(ほど)けないような蝶ネクタイでは
洒落者の資格がありません。
また、蝶ネクタイを解いた瞬間、
粋でないのも洒落者ではありません。
もしかすれば、ネクタイは結ぶより、
解くほうが難しいのかも知れません。

それはごくふつうのワイシャツ、
ごくふつうのネクタイについても言えることです。
まずはシャツにタイを結ぶ。
今日は少し暑いからというので、タイを外す。
と、当然、シャツの襟は間の抜けた感じになります。
それはまるで緊張している顔に、
突然、笑えと言うようなものです。
では、どうすれば良いか。
実に簡単なことで、
襟の顔をときほぐしてやれば良いのです。

タイを外したなら、
ふつう第1ボタンを外しますが、
この時、襟の後中央を少し上げてみて下さい。
2ミリ、3ミリ、5ミリ・・・。
ネクタイの時には
きっかり半分に襟を折りますが、
タイを外したなら、
ごくわずか襟の折目を上にずらす。
たったそれだけのことで、
左右の襟先はより拡り、
より落着いた感じになるはずです。

もちろん
襟のスタイルやバランスによっても
多少違ってきますが、
本来シャツの襟は
それほど敏感なものなのです。
ぜひ一度、鏡の前に向って、
襟腰のラインを少し動かすだけで、
襟型、襟先の気分が
大きく変ることに気づくでしょう。
タイを外して、間の抜けた印象になるとすれば、
それは襟の扱い方が下手なせいなのです。

似たようなことは
カフス(袖口)についても言えるでしょう。
大切なことは適度な手首へのフィット感で、
これを上手に利用して、
最良の長さとバランスを保てば良いのです。
そのためには袖口のボタン位置を
自分で常に調節しておくことが大切なのです。


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