服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第925回
足袋からチョッキが生まれた話

「ウォームビズ」という言葉を
聞いたことがありますか。
この間まではクールビズで、
今度はウォームビズで、
なかなか忙しいことです。
もちろん省エネルギーの一環です。

ウォームビズと関連があるのかどうか、
今年はチョッキに興味が集まっているらしい。
私なども3週遅れのランナーに似て、
むかしからチョッキは大好きです。

では、とりあえず
オッド・ヴェストを1枚作ってみようか、
ということになる。
でも、変わりチョッキ1枚だけ注文するのは、
少し気のひけることでしょう。
ところが良い店を発見。
前にも一度お話をしたことがあると思いますが
新橋の「NEW!」(TEL:3501-9563)。
もともとは明治からの足袋屋「大野屋」で、
昭和のはじめになってから、
洋品店をはじめたのだそうです。

それはともかく
この「NEW!」という名の古い店で、
チョッキを1枚から作ってくれます。
値段は1枚 21,000円。
決して安いとは思いませんが、
生地がハリス・ツイードと聞くと納得の値段です。

注文ですから、
店にあるなかで好みの生地と柄を選べる。
ボタンや裏地についても
ある程度の選択ができます。
ポケットの数やデザインについても同様。

さて、ここで私がおすすめしたいのは、
チョッキの背中。
ふつうチョッキは「背裏」といって、
専用の薄地を張ることになっています。
が、これに代えて、
表地と共地で背中も仕立ててもらう。
これは実に暖かい工夫です。
時と場合によっては
コートを着なくてすむほどです。
逆に暑いようなら、簡単に脱いで、
小さく畳んでおけますから、便利。

ところでもうひとつ、チョッキの内ポケット。
もちろんこれも好みの問題ですが、
貴重品を入れておくには便利なものです。
そもそもむかしのチョッキには
必ず付いていたもので、
私にとっては懐かしくもあります。

まさか足袋の縫い方を
応用しているわけではないでしょうが、
かなり縫製も丁寧で、
ちょっとした英国紳士の気分になれますよ。


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