服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第945回
スウェード・ジャケット着こなしのコツ

スウェードのジャケットを着たことがありますか。
スウェードといえばレザー、
レザーといえばスウェードという印象があります。
つまり日頃から我われは
レザー・ジャケットとスウェード・ジャケットを
ひとつのグループとして考える傾向があります。
けれども実際には
レザー・ジャケットとスウェードジャケットは、
まったく別種のものです。

もしもあえて仲間を探すとするなら、
ヴェルヴェット(ビロード)や
細畝のコーデュロイ(コール天)に、
スウェードは近いのではないでしょうか。

そもそもスウェードとは
仔山羊(こやぎ)の革を使っての、
極上の手袋のための材質であったのです。
しなやかで、美しいケバを持っているのも
当然のことでしょう。
スウェーデンの仔山羊革が
フランスに伝えられたところから、
スウェード“suede”の言葉が生まれたのです。

もしもふたつの
スウェード・ジャケットを前にして迷ったなら、
その表面感や手ざわりが
よりヴェルヴェットに近いものを選ぶべきでしょう。
次に、色は黒をはじめとする
ダーク・トーンをおすすめします。
スウェードの淡い色は保存が難しい。
色落ちや変色も少なくないからです。
もちろんそれもまた「味わい」と考えるなら、
別の話ですが。

デザインについても凝ったものよりも、
あっさりと単純なものを。
なぜならより幅広い着こなしができ、
着用回数がふえるからです。
着用後、スウェード専用のブラシをかけておけば、
孫子の代まで着られるでしょう。
もしひどく汚れた場合には、
消しゴムや目の細かいサンド・ペーパーを
使うこともあります。
その後でブラシでよくケバを整えておきましょう。

スウェード・ジャケットは
むしろドレッシーな着こなしにも使いたいものです。
淡いグレイ・フランネルのパンツに、
白いシルクのシャツといった具合に。
「なかなかすてきなビロードの上着ですね」
と言われたなら、
その着こなしはあらゆる意味で
大成功であったことになります。


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