服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第960回
蝶ネクタイはあなたの親友です

ボウ・タイを結んだことがありますか。
ボウ・タイが「蝶ネクタイ」であることは、
言うまでもありません。
もちろん蝶ネクタイのなかにも
さまざまな種類があって、
“バタフライ・ボウ”や“クラブ・ボウ”、
あるいは“ポインテッド・エンド・ボウ”など。

クラブ・ボウは細長い結び目のもの。
さらに両端が光っているのが、
ポインテッド・エンド・ボウ。
“バタフライ”は文字通り
蝶の羽根に似たスタイルで、
比較的よく目にするデザインのものです。

けれども蝶ネクタイを
進んで結ぼうという人は少ないはずです。
そのもっとも大きな理由は、
心の中で「絶対に似合わない」と信じているから。
これはある意味で正しいのです。
蝶ネクタイに限らず、
自分で「絶対に似合わない」と信じて
それを身につけたなら、
その通り、似合っては見えないからです。

さて、ここに二つの原則があります。
この二つの原則さえ守って下されば、
必ず蝶ネクタイが似合うようになります。

原則その1
自分の左右の眼の幅と、
蝶ネクタイの結んだ幅をほぼ同一にする。
これは実際に結んでみれば、
それほど難しいことではありません。

第2の原則
それは必ず自分の両手で結ぶこと。
つまり出来合いの
結び切りの蝶ネクタイを使ってはいけない。

たったこのふたつの原則を守ることで
絶対に蝶ネクタイはあなたの親友になってくれます。
「でもねぇ、結び方が難しくて」とおっしゃる。
いえいえ、難しいからこそいいのです。
というのは少しどこか曲っている、
少しどこかいびつである。
そのような蝶ネクタイの結び目に、
人は人間性を感じるのですから。
あまりに上手に結びすぎて、
まるで結び切りの蝶ネクタイに見えるようでは
つまらないではありませんか。

たとえばスポーツ・シャツの上に
Vネック・スェーターを重ねるとして、
その首元に小紋のボウ・タイというのはしゃれたものです。
もちろん二つの原則を守って、
それを親友にしてからのことですが。


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