服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第966回
F・L・ライトに学ぶおしゃれ術

効果的なおしゃれ上達法について
考えたことがありますか。
これはもう誰か
具体的なお手本を見つけるに限ります。
たとえばあの人のジャケットが良いなあ、
と思ったなら徹底的に参考にする。
これこそ最上の方法です。
手短に言えば、最初は真似るわけです。

どうも私たちは「真似る」ということを
表面的に考えすぎているようです。
「真似る」はむかし「まねぶ」と言ったのだそうです。
「まねぶ」すなわち「まなぶ」であります。
つまりこの語源は、
学ぶことは真似ることにありと教えているのです。
問題はその真似の仕方が浅いか、深いかであります。
より深く真似ることは、
学ぶことへとつながってゆくのです。
これはなにもおしゃれだけについて言えるのではなく、
人生、世の中すべてについて
共通しているのではないでしょうか。

ところでつい最近、
ある雑誌でライトの写真を見た。
いうまでもなくあの有名な建築家、
フランク・ロイド・ライト(1867〜1959年)のことです。
旧帝国ホテルの建築家でもあることは、
広く知られているところでしょう。
そのライトが
グレーとおぼしきスリーピース・スーツを着、
ソフト・ハットを被り、
なんともダンディーな姿なのですね。
う〜む、とうなってしまいました。
で、その襟もとを見ると、
幅広い、ストライプ柄のリボン・タイを
ゆったりと結んでいるではありませんか。

私の真似ごころ、
いや、学びの心が動いたこと、
申すまでもありません。
スリーピース・スーツに白いシャツを着て、
なにも結び下げのネクタイをするだけが
すべてではないと、一枚の写真が、
より具体的に教えてくれたのです。

やや幅広の、そうですね
4センチ位でしょうか。
できれば好みの色柄の、
シルクのリボンを80センチほど買い求める。
両端を少し折り返して、
ほつれないよう縫っておく。
あとはもう蝶結びでシャツの襟にあしらうだけ。
F・L・ライト流のドレスアップの完成です。


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