服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第965回
諭吉と牛鍋

牛丼とは何かについて、
考えてみたことがありますか。
丼(どん)というからにはどんぶり、
要するに飯が下にある。
で、その上に牛鍋風の代物が乗っているわけです。
具も、飯も一緒に食べることができる。
単純にしてなかなか便利なものであります。
明治の頃から牛鍋(ぎゅうなべ)は
ずいぶんと流行ったものです。
けれども明治以前には
「牛鍋(うしなべ)」と言ったとのこと。―
たぶんこれは信じてもらえないでしょう。
第一、幕末に牛肉を食べる習慣は
まずなかったわけですから。

<<そのとき大阪中で
 牛鍋(うしなべ)を食わせる所はただ二軒ある。(中略)
 最下等の店だから、凡(およ)そ人間らしい人で
 出入りする者は決してない>>
(福沢諭吉 著 『福翁自伝』

これは諭吉が大阪の緒方塾で学んでいた頃の話ですから、
安政4年(1857年)のことです。
明治維新の9年前ということになります。
最下等の店であるかどうかはさておき、
牛肉を食べることは食べていたわけです。
そうしてちゃんと牛鍋(うしなべ)と書いてあります。
もしこのあたりが牛丼の元祖だとすると、
その歴史まことに古いわけですね。

ところでどうして牛丼の話になたのか。
『メモ男の部屋』(ワールドフォトプレス刊)
という雑誌を眺めていたからです。
ここに「非常備蓄食」としての牛丼が
紹介されているではありませんか。
つまり防災用の非常食として
開発された牛丼なのですが、
見せられた以上はぜひ食べてみたい。

保存用の特殊な容器に入っていて、
2年間は常温で大丈夫とのこと。
ただ一人前1,050円というのは
高いような、安いような。
食べる時は、蓋を開けてしかるべくセットして、
付属の紐を引く。
と、8分間で食べ頃の温度になるというもの。
つまり水も火も、まったく不要で、
温かい牛丼が仕上る優秀品なのです。
もしご興味おありの方は
「ティーエム アウトドア・セキュリティ」
(TEL:047-322-2077)に問合わせてみて下さい。
この牛丼を食べるかどうかはさておき、
いつもどこかで、
いざという時のことを考えておくのも
悪いことではありませんね。


←前回記事へ 2005年12月2日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ