服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第981回
幸福のドレス・アップ

ドレス・アップの機会は多いほうですか。
ごく単純に考えて、
ドレス・アップの機会が多いのは、
それだけ幅広い社交と人脈とを
持っていることになります。

ひと口にドレス・アップといっても、
あまりに種類が多くて迷ってしまう。
とりあえず昼間のフォーマルについて
考えてみましょう。
この場合の「昼間」とは
午後6時以前のことなのですが。

まず最初に提案したいのは、
まっ黒の服を着るのはやめましょう、ということ。
どうして黒がいけないのか。
黒い服を着ると誰もが「これで良し」と
安心してしまうからです。
ドレス・アップとは
むしろ安心しないことなのですから。
心地良い緊張感のあることが大切だと思います。

では黒服をやめて何を着るのか。
それはグレイの服。
もちろんダーク・グレイのスーツを選ぶのも
ひとつの方法でしょう。
私としては21世紀にふさわしい
新しいドレス・アップとして、
グレイ・オン・グレイの配色を考えています。
グレイのスーツに淡いグレイのシャツと、
シルバー・グレイのネクタイ。
これらのすべてを
無地に思える渋い調子のものにして、
しかしながら色のトーンにおいては
美しいハーモニーの感じられる着こなし。

いつもいつも
黒と白のコントラストばかりでは強すぎて、
疲れるところがあります。
だから、グレイ・オン・グレイ。
グレイという色はエレガントで、落着きがあり、
たいていの色に組合わせることが出来ます。
そして上品なグレイは、
人生の成功者にふさわしい色でもあります。

少し極端な例を挙げるなら、
むかしのグレイ・モーニング
(アスコット・モーニングとも)は
上流階級のシンボルでもあったのです。

もちろん常にスーツである必要はなく、
ライト・グレイにダーク・グレイのパンツ
という組合わせもあるでしょう。
そしてもしも可能なら、どこかに一点、
シルク素材を使ったアクセサリーを組合わせましょう。
きっとリッチな気分が味わえるはずです。


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