服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第996回
名文家への近道

ヴァージニア・ウルフを知っていますか。
もちろん英国の女流作家、
ヴァージニア・ウルフ(1882〜1941年)のことですね。
『ダロウェイ夫人』『燈台へ』をはじめとして
数多くの小説を書いた才媛です。
短編集も出ていますので、
とりあえずこれから読みはじめるのも
ひとつの方法かも知れません。

V・ウルフは女性でありながら
男のおしゃれにも興味があったようで、
著作中にもしばしば凝った服装描写が出てきます。
またそれのみならず、
イギリスの伝説的な洒落者、
ボウ・ブラムメルについての本も書いているのです。
タイトルもずばり
『ボウ・ブラムメル』で、
ニューヨークのレミントン&フーパ社から、
1930年に出版されています。
短い読物ではありますが、
わずか550部の限定本としての刊行であったようです。
それはともかく、女性の作家で
これほど男のおしゃれに関心があった人物も
珍しいのではないでしょうか。

というのは、男性の小説家で
メンズ・ファッションに興味を持った例は、
当然のことながら、いくつかあるからです。
たとえばサマセット・モーム(1874〜1965年)。
偶然、モームもイギリスの作家ですが、
『人間の絆』などを熟読すると、
古き良き時代の英国上流階級のおしゃれ感が
分るような気持にさせられます。
もっと手ばやくと言うのなら、
『アシェンデン』をおすすめします。
ふつうスパイ小説だと考えられていますが、
どうしてどうして私に言わせると、
これは立派なおしゃれ教本であります。

ヴァージニア・ウルフと
サマーセット・モームの接点は何か。
それはふたりとも年代こそ違うものの、
同じ日に生まれているのです。
1月25日生まれ。
1月25日に小説家をめざせ、とは申しませんが、
なにか書きはじめるには
とても良い日であるかも知れません。
白い紙と万年筆さえあればそれで良いのです。
考えるよりも前に書き、書いてから考える。
そしてまた書き直す。
これが文章上達の近道です。


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