服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第998回
着こなし上手への最短距離

春になったら着てみたいものは何ですか。
私の場合にはまず第一に、
サファリ・ジャケットです。
サファリ・ジャケットは春を通りこして
夏にふさわしいと思うかも知れません。
でも、新しい、カジュアル・ジャケットとして、
春にこそ着てみたいのです。

「ああ、なるほどサファリ・ジャケットね、
 そんなのもあったよね」と誰もが言うでしょう。
しかしもう一度新鮮な目で
じっくり眺めて頂きたいのです。
もとはといえば、
長く、苛酷なサファリ旅行から生まれた上着ですが、
ここには完全なるジャケットと
シャツの結婚がみられます。
シャツのようでもあり、ジャケットのようでもある。

まず一重(ひとえ)仕立てで、
裏地も芯地もほとんどない。
パッドもありません。
原則としてシャツ襟で、
袖口のシャツ仕立てになっています。
こんな思いきったアイディアの街着が
他にあるでしょうか。
軽くて、気張らず、多様多彩な着こなしができる―。
今こそ、サファリ・ジャケットを着たい最大の理由です。

つまりシティ・サファリ・ジャケットのすすめです。
そうなると必ずしもおなじみのカーキ色でなくとも良い、
ということにもなるでしょう。
たとえば白麻のサファリ・ジャケットを街着にするのは、
粋なものではないでしょうか。
裏地も芯地もないわけですから、
家庭洗濯だって可能でしょう。

さて、サファリ・ジャケットに何を合わせるか。
私ならまず第一に
ホワイト・ジーンズを穿いてみたい。
足元はたとえばウエスタン・ブーツ。
そして少し大胆な
タートルネックの春スェーターを
下に合わせてみる。
もちろんスポーツ・シャツに
スカーフという組合わせもあるでしょう。
ストライプのシャツに
あえてニット・タイを結ぶ手もあるでしょう―。
こんなふうに私の空想ゲームは拡がるばかりです。

サファリ・ジャケットであろうとなかろうと、
事前にたっぷりと空想ゲームを愉しんでおくことは、
着こなし上手への近道なのです。


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