門上 武司

「一杯の珈琲から一皿の満足まで」
  門上武司の食コラム

第134回
らーめん 和

4月末に京都・七条堀川西入ルに新しいラーメン屋が誕生した。
その名は「らーめん 和(なごみ)」である。

店内に入りカウンターに座ると、
まず目に飛び込んでくるのがカウンター後ろの坪庭だ。

なんとも和風な設え。
「まるで割烹のような佇まいですね」と話すと、
「そうでしょう。以前ここは京料理の店だったのです。
これがあまりにもきれいだったので、
そのまま使うことにしました。
でも和風すぎるので、
植え込みは変えないといけないと思っています」
とのことであった。
また「こちらはかなり暑いので、
花は長持ちしないと思います」とも。
「すると観葉植物ですか。
そうするとぐっと雰囲気が変わりますね」と僕も言葉を続けた。

メニューはラーメンと担々麺の2種類である。
同行の知人は担々麺好きだ。
僕がラーメンの玉子入りを頼み、知人はもちろん担々麺だ。
カウンターなので調理工程がよく見える。
どちらもほぼ同じような行程で作られる。京都らしく背脂も入る。


さあ、登場だ。
一瞬「こちらが担々麺」と言われなければ判断がつきにくい。
僕が玉子入りにしなければ、見分けがつかなかったかもしれない。

ラーメンを食べる。スープは思ったより濃厚ではない。
そこに入った胡麻のプチッとした食感と、
その後の味わいがインパクトありだ。
麺は細麺でしなやか。チャーシューのとろけ具合が素晴らしい。
とけゆく時に感じるコクも印象的である。
そしてなにより濃厚であったのが玉子だ。
黄身はもちろんのこと白身部分まで味がしっかり染みこんでいた。


そして担々麺を少し頂いた。

スープには胡麻の味わいがじんわり溶け、
辛味もピリッときいている。
たしかに担々麺の要素を感じるのだが、
これまでのそれとは一線を画した一品である。
そういった意味では、新たな担々麺との出会いがあったといえる。

料理人が「前に京都の北のほうで台湾料理店をやっていました」
と語ってくれた。
この言葉で、料理人が考える担々麺は
ラーメン屋で出すとこのようになるのだな、
と少し分かったような気分になった。


【本日の店舗紹介】

「らーめん 和」
 京都市下京区西八百屋町152
 075-343-8877


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2012年5月18日(金)

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