虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第56回
プチ整形の秘薬

前回お話したボツリヌス菌の毒素が、
実は、美容整形の分野で
シワを無くす秘薬として活躍しています。
どういうふうなことかといいますと、
シワの部分にその毒素を注射して
その部分の筋肉をマヒさせシワを無くすという仕組みです。
特に、眉間・目尻・額のシワに効果があるそうで、
価格は一回約5万円、効果は半年ほど続くということです。

ボツリヌス菌についてもう少しくわしく説明しますと
この菌は、特に熱に強いため
普通の煮沸消毒では殺菌することができません。
さらに酸素が無くても生きることができるため、
土の中や泥の中・砂の中などにも棲んでいますし
真空パックされていても増殖できます。
また、その毒性はボツリヌス菌が作りだす毒素に由来し、
一番強いA型では青酸カリの30万倍以上あり
地球上で最強と言われています。

ところで、なぜ1才未満の乳児がボツリヌス菌に
それほど注意しなければならないのかといいますと、
ボツリヌス菌が体内に侵入した場合
それに対抗できる腸内細菌をまだ持っていなかったり・
・菌の数が十分でなかったりして
腸内で増殖してしまうからだといわれています。
また、汚れたハウスダストや玩具・鉢植えの土などを
なめることでも菌が摂取される可能性もありますから、
子どもの手洗いには十分に気をつけたいものです。

もし、赤ちゃんがボツリヌス菌に侵された場合、
症状は突然の便秘から始まることが多いようです。
その後、首がすわらない・四肢が動かないなど
次第に全身の筋力が低下し、
ミルクの飲みが弱くなる・泣き声が弱くなる・ぐったりする
などの症状が現れてきて、突然呼吸が止まることもあります。
潜伏期間は、通常3〜30日ぐらいとされています。

最近、乳児突然死のことが話題になっていますが、
その原因の一つにボツリヌス菌のことも挙げられております。


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