虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第295回
「葛根湯には、トゲがある!」

先日、東京の病院で、
患者が通常の3倍以上の速さで薬を投与され、
その直後に死亡する医療事故が発生しました。

関係者によると、患者は肺気腫で入院。
通常は10時間以上かけて点滴する
血圧上昇剤を約3時間ほどで投与され、
患者は数時間後に死亡したという話です。

血圧上昇剤は、高血圧の薬とは逆に、
体内の末梢血管を収縮して
血圧を上昇させる仕組みなのですが、
あまり短時間で投与すると、
血管が急激な収縮を起こして
全身の血液が流れにくくなってしまいます。

現在、眠くならない風邪薬として
葛根湯のコマーシャルが
テレビなどでバンバン放送されていますが、
葛根湯に含まれている
生薬の麻黄(マオウ)にも
血圧を上昇させる作用があります。

また、葛根湯を飲んで眠くならないのは、
麻黄が神経を興奮させているからです。
つまり、極端なことをいえば、
葛根湯は身体を覚醒した状態にするため、
風邪が治ったように錯覚してしまうわけです。

一般の方は、漢方薬は
自然の薬草から作られているから
安全だと思っておられますが、
中には麻黄のような
使い方に注意しなければならない生薬が
含まれている場合があります。

高血圧の方、心臓に病気がある方、
身体が丈夫でない方、胃腸が弱い方、
スポーツをしている方、コーヒーが好きな方・・・
葛根湯の使用には十分、気をつけて下さい。


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