虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第354回
「危険な浣腸」

先日のコラムで、
「酸を中和してくれるアルカリ分が
 下痢で大量に失われたりすると、
 酸性の度合いが強まって
 人体に支障をきたすようになる」
という話を致しましたが
酸を中和してくれるアルカリ分とは
実は、“腸液”のことを意味しております。

腸液とは、小腸壁にある
腸腺から分泌される消化液の総称で、
炭水化物分解酵素である
マルターゼ・サッカラーゼ・ラクターゼ、
タンパク質分解酵素である
アミノペプチダーゼ・ジペプチダーゼなど、
多くの消化酵素が中に含まれています。

毎日、かなりの量の腸液が
分泌されていますから、
よほどひどい下痢が続かない限り、
腸内環境に大きな変化が
現われるようなことはありませんが、
一般に使用されている浣腸で
思わぬ事態が
簡単に発生する場合があります。

なぜなら、
浣腸の瀉下作用は意外と強力で、
人によって腸液と体液が急激かつ
大量に失われることがあるからです。
例えば、心疾患の患者さんでは
心臓が停止する危険性が出てきますし、
小児や老人では
重篤な脱水症状に陥る可能性があります。

また、浣腸の中身はグリセリンで
安全性が非常に高いと
一般には考えられていますが、
肛門や腸管に炎症・キズがある場合に
浣腸を使用しますと、
グリセリンが創傷部位より
血管の中へと吸収されて
溶血または腎不全を
引き起こす恐れがあります。
痔主の方は、くれぐれもご注意下さい。


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