戦前、利殖の記事を盛んに書いていた谷孫六という人は、死んだら借金しか残っていなかったそうであるが、まさかそれほどでなくとも、「なあーんだ。話半分どころの騒ぎじゃないなあ」と税務署員にもあきれられてしまうのがオチであろう。では、そこで化けの皮が剥がれてしまうかというと、そんなことはない。私には『ゼイキン報告』とか『節税の実際』とかいった納税者の側から書いた税金の本もある。ロングセラーズで二十年前に書いた本がいまもなお売れている。私の税金の本を読んだことのある人なら、「さすがあ。ゼイキン報告を書いたセンセイだけあって、死に際の準備までちゃんとしてあって見事なものだなあ」と感心してくれるかもしれない。本当はたいした資産家でなくとも、人は自分勝手に解釈してしまうのである。
つまり既に衆目の一致する資産家になってしまった以上、途中で破産をしたり、詐欺をやったりして馬脚をあらわすことさえなければ、誰にも本体を見破られずに、「お金儲けの神様」として大往生を遂げることのできる可能性を持っているのである。
世の中には私よりうんとお金持ちの人はいくらでもいるし、また私よりお金儲けのすぐれたアイデアを持っている人はいくらもいる。そういう人をさしおいて「神様」のニックネームをもらうこと自体が滑稽な話なのだが、他の人々をさしおいてそういうことになったのは、ジャーナリズムで経済や利殖の評論をしている人々が他人にはあれこれ講釈をしても、自分では実際に事業や投資をやっておらず、いわゆる「紙上談兵」、つまり空理空論で終わることが多いからであろう。そういう人に比べれば私の場合は少なくとも自分が思いついたことは自分で実験しているし、それなりの授業料も払ってきている。
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