思わぬ障害に悩まされる
一遍は牧場主になりたいという宿望もあったが、台湾の経済が高度成長に片足かけた時期でもあったから、私はもし牧場をつくるなら、将来、工業団地か住宅地にでも転用できるような都会の周辺がよいと思った。
ちょうど新市というところに工業団地をつくったので、そこからさらに自動車で二十分くらい先にある番子団の付近で田畑を約四十甲歩(一甲歩は約一町歩)買った。それから投資奨励法に基づいて、日本からの投資許可の申請をした。
私は国が奨励しているくらいだから、二か月もすれば、簡単に許可が下りるものだとばかり思っていた。ところが、牧畜業に僑外投資は不要だといって投資業処から書類を突き返されただけでなく、農民の資格がないと、土地を買うことができないから、土地の登記申請は受けつけられないと、これまた郷公所から突き返された。
海外からの投資を許可しないのなら、国内企業でもかまわないと思って、国内企業としての申請をしなおしたら、このほうは簡単に許可になった。それなら牧畜を業とする法人に土地を持ってもらえばよいと思って土地の登記に行ったら、法人では農地を所有できないとこれまた書類を突き返された。「三民主義の中にある平均地権の精神に基づいて、我が国の土地法は農民以外が所有できないように明記してある」と言う。
なるほど耕作能力のある農民と書いてあるが、個人でないといけないとは明記されていない。農業法人として許可してもらった以上、農業法人だって農民じゃないかと反論したが、自分たちには申請を受理する権限がない、上部組織に伺ってみてくれとどうしても相手になってくれない。仕方がないので、内政部長(内務大臣)をやっている林金生氏のところへ直談判に出かけた。
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