悪条件が重なって
私の場合は、台湾で永漢証券投資公司という会社まで設立して、株式投資に乗り出したので、身をもって発展途上国の株式投資の難しさを体験することになったが、実際にやってみると緒戦で早くも一敗地に塗れてしまった。
あとになってその原因を反省してみると、まず第一に、台湾の上場会社の体質を見誤ったことである。たとえば台湾の化繊会社は日本に比べるとかなり後発であり、零細資本から出発しているので、コストも日本に比べて二〇%くらい安い。その点では東レや帝人や旭化成などより有利に見えるが、日本製に比べると、品質面で劣るし、二級品の扱いを受ける。また会社の資産面や金融力で遥かに劣るので、景気が悪化すると、資金が続かなくなって投げ売りをやったかと思うと、もう倒産してしまっている。だからコストの安いのはメリットの一つであるが、世界の一流企業と正面から競争できる体質を持っていないのである。
第二に、盛んに粉飾決算をやることである。日本ならリッカーのような特殊な例外を除けば、粉飾決算をやる上場企業はほとんどないが、台湾では株価操作や税務対策のために平気で粉飾決算をやる一般的風潮がある。ことに、株主から経営を信託されていることを意識している経営者が少なく、他人の資本を動かせる立場にいることを奇貨として私腹を肥やすようなことを平気でやる。したがっていざ蓋をあけてみると、収拾のできないほど経営状態が悪化していることが珍しくないのである。
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