嫌気がさして整理を始める
おかげですぐに処分をすれば損害が少なくてすんだのに、株を持ち続けたために一時は会社の財産が六割まで減ってしまった。しかも証券管理委員会の証券投資公司への干渉が思いのほかきびしく、明らかに株価が下がる方向に向かっているときでも、証券投資公司が株を売ると「株を売らないでほしい」と電話がかかってきた。
反対に総統、副総統の選挙があったり、国家的な慶事があったりすると、「株を買え買え」としきりに電話がかかってくる。また上場株以外の使途に資金を使うことを禁じているし、資本金の五割相当額をこえる借入れも禁じている。親が子供に干渉するように、一つ一つ細かく嘴をはさむので、さすがの私も頭にきて次第に嫌気がさすようになってしまった。
しまいには会社を整理する気を起して、その手はじめとして総経理の首を切ることにした。それぞれのポジションにはそれなりに株式投資の背景になっている株があるので、まずそれらの人々からその株を買う必要が起った。
業績の悪化が表面に出ると、一山当てようとして生命の次に大切なお金を投じた連中が、私のところへ株を引き取って欲しいとドッと押しかけた。なかには私を背任横領で訴えるといって脅かす者もあった。理由をきいてみると、要するに自分の持株を引き取って欲しいということなのである。やむを得ないので、申し入れのある度に無いお金をはたいて、六元しか資産内容のない株を八元で買ってあげたりした。
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