逆ブーメラン現象で工場を続々と閉鎖
石油ショックにもへこたれない
石油ショックは、日本のように石油の九〇%以上を輸入に仰ぐ国にとっては、蒙古来襲にも比すべき国難であった。蒙古来襲なら蒙古軍の押し寄せる九州の一角で防ぎとめればよいが、石油ショックは産業界全体の循環系統に異状をきたすものであるから、物価が暴騰して経済のバランスが大きく崩れてしまう。粒々辛苦して海外市場を開拓した結果、やっと外貨保有高を百五十億ドルにのせた日本で、一年間に石油の値上がりのために支払わなければならなくなった分だけで、ちょうど百五十億ドルにものぼるようになったのだから、日本がたちまちピンチにおちいり、もとの貧乏国に転落してしまうと心配する向きがあったとしても決して不思議ではない。
急激な物価上昇で、塵紙や砂糖の買い占めまで起り、日本から台湾に旅行へ行った日本人がお土産の代わりに台湾の塵紙を買って帰るという珍風景も見られた。石油ショックの影響は何も日本だけではなく、近隣諸国はもとより、全世界の石油消費国にまで及んだが、私は日本の国の経済の成り立ちから見て、日本は石油ショックには案外強い体質だから、大丈夫なのではないかと楽観していた。
というのは、ご承知のように日本は資源国ではなく、加工業国である。加工業国とは、多国から原料を輸入して加工をしてまた外国へ再輸出する。そういう国の飯のタネは、手間賃というか、加工賃というか、難しい言葉でいえば、付加価値であるから、原料の値段が上がれば、その分だけ製品の値上げをすればよい。
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