もしそうだとしたら、日米経済摩擦はさらに一段とエスカレートするから、アメリカはそれをがまんできなくなって、
(一)日本商品に対して反ダンピング法に訴える訴訟はますますふえてくる。
(二)貿易上の相互主義を主張するアメリカの声が一段と高くなる。
(三)日本からの輸入に対しては一律に課徴金を二五%とろうじゃないかという古い主張が現実味を帯びてくる。
(四)業種ごとに数量もしくは金額制限をやる。
(五)日本側の自主規制品目をふやしていく。
といった自由貿易を実質上、骨抜きにしてしまうような動きがますます表面化してくるに違いない。
自由貿易の旗印は、二十世紀も終わりに近づくに従って、出超国と入超国のバランスをとる能力を完全に失って、実質上、機能しなくなってしまう可能性が大きいのである。
実は私は、気の早いほうだから、五年ほど前からこのことに気づき、『奔放なる発想』という拙著の中で、「為替レートはゴルフのハンディみたいなものだから、いくら円高にしても貿易上のアンバランスを改善するには至らないだろう。したがって日本の企業で、アメリカに商品を輸出しているほどの会社は、アメリカ市場を確保するために工場を現地に動かすよりほかなくなるだろう」といった意味のことを書いた。
一旦、一つの新しい着想につかまると、それを頭の中にだけしまっておくことは私にはできない。どんなことがあっても必ずそのテストをしないでは気がすまないのが私の気質なのである。
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