二十一世紀に向けて
私の最初の予想では、日本人は多分、すぐお向かいのカリフォルニア州に集中するだろうと考えた。ことにロサンゼルスからサンディエゴの間は、気候風土的にも、土地の広さからいっても、日本企業の一大工場地帯を形成するには向いている。
そう思ったので、まずリトル東京に小さなビルを買い、続いて、オレンジ・カウンティに小さなショッピング・センターや、小さなコンドミニアム(マンション)を持つようになった。これはお金儲けのためというよりは、自分が予想した動きが正しいかどうかをたしかめるために、実際に自分で賭けてみなければ気がすまないというもって生まれた気質から出たものである。
しかもその場合、日本円をアメリカに運んでアメリカの不動産を買ったのでは話が面白くない。一ドル二百五十円で日本円をドルに換えて、アメリカで不動産に投資をして、仮に値段が倍になったとしても、一ドルが百二十五円まで下がってしまったら(そういうことも充分あり得ると想定しなければ、海外投資はすすめられない)、元の木阿弥になってしまうからである。だから私は資本金分くらいの資金は日本から投資するとしても、それ以外の借入金はすべてアメリカの銀行からドルで借りなければ意味がないと思っている。
アメリカでお金を借りて、年率一二%とか、一三%の高い金利を払い続けることはまことにしんどいことである。しかし、アメリカの大半の人々は皆、この高金利に耐えているのだし、自分もそうしなければアメリカ人の気持ちはわからない。またアメリカで再度、インフレがドッと表面化したときにうまくその恩恵にあずかることもできない。
自分としては、別にそんなにお金が欲しいと思っているわけでもないのに、こういう勝負に出なければならないのも身から出た錆と言ってよいのであろうか。ただ、自分のこれまで生きてきた行動原理に従って行動するとすれば、ここは当然、日米貿易摩擦の行方に賭けなければならないところだし、目下、私の打った手が丁と出るか、半と出るかが、私の最大の関心事ということになる。
日米貿易摩擦に対する賭け金は、今のところ、私が台湾に賭けた賭け金に比べればまだうんと少ないが、賭けの喜びは、当たるか当たらないかということであって、必ずしも稼ぎの大きさではないだろう。
日本人の飯のタネの一番大きな部分は今やアメリカにかかっている。中国やその他の国々にかかわる分はタカが知れている。今後の日本経済を大きく左右するのも何と言っても日米貿易の行方であり、両者の勝負の過程で日本の優位がきまれば、日本経済は東の正横綱の地位を二十一世紀に向かって着々と安定したものにして行くだろうと私は見ている。
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