温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第42回
温泉まんじゅうは、なぜ茶色い?

温泉地のおみやげの定番といえば、温泉まんじゅう。
日本全国どこの温泉地へ行っても、必ず売っています。
そして、ほとんどの場合、あんこが茶色い皮に包まれています。
どうして、茶色の皮なのかご存じですか?
それは温泉まんじゅう発祥の地が、
群馬県の伊香保温泉だからです。

伊香保温泉と聞いて思い浮かべるのは、たぶん石段街でしょう。
テレビの旅番組やサスペンスドラマの舞台に、
たびたび登場するので、行ったことのない人でも
馴染みのある風景かと思います。
石段を中心に旅館やみやげ物屋が並ぶ温泉街は、
いつ訪ねても独特の風情をかもし出しています。

そして、行ったことのある人ならば、
温泉の色を思い浮かべる人もいるかもしれません。
伊香保温泉には、色の異なる2つの源泉が湧いています。

400年前から湧き続けるている茶褐色の湯は
「黄金(こがね)の湯」と呼ばれ、
夏目漱石や芥川龍之介、島崎藤村ら、
多くの文人墨客に愛されてきました。
泉質は、血圧降下や動脈硬化の予防に効果が高いといわれる
硫酸塩温泉で、昔から婦人病に良く効くため
「子宝の湯」としても親しまれています。

もう1つの源泉は「白銀(しろがね)の湯」です。
こちらは平成になってから発見された、
保湿効果のあるメタけい酸を含有する無色透明の温泉です。

そして、この「黄金の湯」と同じ色のまんじゅうを
最初に作ったのが、明治43(1910)年創業の
老舗菓子店「勝月堂」でした。
天皇家への献上品に選ばれたことがきっかけで
全国に知られるようになり、多くの温泉地で同じような
茶色の温泉まんじゅうが誕生したといわれています。
ちなみに伊香保温泉では、湯の色を表現していることから
「湯の花まんじゅう」と呼ばれています。

現在、伊香保温泉には「湯の花まんじゅう」を売る店が
10軒ほどありますが、
石段街の一番上で営業を続けている「勝月堂」は、
今でも昔と変わらぬまったくの手作りで、
まんじゅうを作り続けています。
そのため大きさは不揃いですが、
皮の色はまさに「黄金の湯」そのもの。
弾力のある柔らかな茶色い皮に、
甘さひかえめのこしあんが包まれた上品な味わいは、
伊香保通が必ず買い求める名物です。

1日の製造に限りがあるので、
売り切れてしまうこともしばしありますが、
伊香保へ行ったら、ぜひ食してみたい味です。


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2012年4月21日(土)

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