前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第5回
一人でやればよいではないか

実を言うと店を見つける前に
お話にならような大きな問題があったんです。
我々二人はまったく合わない性格だという意見で
双方一致していたのですから。
はじめから前途多難で
「そんなことなら、初めから一人でやればよいではないか」
ということになるんですが、一人では心細いのです。
そのころのプリント機械は、職人の技術を必要としました。
ネガの色だけを見て仕上がりの色を予想して
調整しながらプリントするんです。
「毎日のプリントをして、それで、
ちょっとした機械の故障も直せるようになるには
2年以上かかるからね。経験者と一緒に始めるしかないよ」
というのはもっともな意見でした。

修理は自分で出来なければイギリスの代理店に頼むのです。
来てもらえるまで機械は最低2日間は止まります。
部品を取り寄せることになると
代理店になければ日本から取り寄せて2週間かかります。
機械は世界の市場の半分を占める日本の会社のものです。
それでもその頃は北欧には日本の代理店が一軒もなかったんです。
N君はプリントの経験はあるが機械をあまりいじったことがない。
そして、私は経験はそんなにないが機械いじりは好きではある。
ということで、とりあえず補足し合えるとは言えました。

そこで、今は助け合って店を始めるけれど、
順調にいったら2、3年で二軒目を見つけて、
お互いに独立でやっていうという約束になりました。
その時は、もう一軒店が出せるほどのお金が
そんなに簡単に貯まるとは、
どっちも本気で思ってはなかったのです。
でもそういうことにしておきした。
元々借金が大半で始めるのに、
お金を貯めてもう一軒というのはいかにも甘いですね。
さて店を始めるには何から手をつけるのか解らないので、
経験者にたずねました。
そして彼等の意見を鵜呑みにして自分で検討しなかったので、
随分と無駄な時間とお金を浪費することになるのです。


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2004年7月23日(金)

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