前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第29回
売り上げは右下がり

一号店を出してから6年、二号店からは4年がたちました。
順調に売り上げも伸びて借金も返済し、
リーシングの支払いも済んだので楽になるはずでした。
ところが逆に利益は去年より少ないという状態が始まりました。
幾らなんでもこれでは早すぎます。

なぜかと考えると、
まず歩行者天国のすぐ近くの番地に、生協が経営している
写真と電気製品の大きなチェーン店が進出してきました。
それだけではそれ程の脅威ではなかったのですが、
そこは新型の写真現像の機械を入れました。
良い品質の写真が素人でも現像出来る時代になってしまいました。
私達の店に急ぎのフィルムを持って来ていた
近所の三軒の写真屋も次々と機械を購入していきました。
ヨーロッパは伝統的に大型の現像所が強いと言われてきましたが
ミニラボの時代の到来です。
インド人の店だけは考えたあげく
現像の機械を入れるのを止めたそうです。

この辺りは写真屋の激戦地になりました。
それでもまだ足りないかのように、
それからまたもう三軒の店が増えていくんです。
早くも4年目にして行き詰まりを感じていました。
打つ手が思いつかないのです。
デンマークにもミニ現像所の販売店が出来て
セールスに精を出したおかげで競争相手に囲まれてしまいました。
そして、その頃又
あのドイツのケルンで隔年開かれる
写真の博覧会が季節が巡って来ました。
今回は初めから私の買いたい新製品を見に行く目的がありました。
今度の新製品は他の店に入ったのと同じ種類の機械でしたが、
プリント速度が倍以上ありました。
それにネガフィルムを自動でカットすることができました。
一人分の人件費が節約になります。
もしもお客が来なかったら、
今は定価の半額のうちの現像料を
その又半分に下げたらなんとか来てくれるでしょう。
周りにはたくさんお客はいるし、
原料の値段もこの頃には下がっていたのでこれは実現可能でした。

二年ぶりのケルンの見本市は
心なしか縮小されたような感じで、
デジタル写真ばかり目立つように宣伝していました。
だとすると、今までのカメラや現像の世界に
電気屋が入り込んでくるので、
この業界の競争が益々激化してくるようです。
見学したかった現像機は期待通りでした。
これなら出来てくる写真は質と値段でどこにも勝負できます。


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2004年8月26日(木)

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