前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第32回
取らぬ狸の・・・

店は広すぎるし先行きの心配もあるので、
賃貸契約書の使用目的の欄にたくさん書き込みました。
写真及びその周辺。電気器具。日本食品。
贈答品(これで何でも入るで!)。
衣類。スポーツ用品。貴金属。骨董品・・・。と並べましたが、
生もの以外は許可になりました。
同じ建物の右隣がカフェだったので
カフェ、レストランはダメでした。

町の写真屋の統計を見ると
平均的な店で年商1億5千万円でした。
近くのインド人の店は3億円です。
うちではカメラなどの、
利益率が悪くて人手のいる物をはずします。
すると現像に来る人も減りますが私達の店の立地を考えると
「まあ少なめに見てインド人の四分の一ぐらい」までは
いくのではないかと思いました。
粗利益は6割です。
必要経費と借金の返済と減価償却を引いてもかなり余裕が有ります。
その他に残りの二軒からの収入も有るので
「店を始めた甲斐がある」はずでした。
しかし取らぬ狸の何とやらで、
始まってみるとすべてが大幅に狂うのでした。

店の鍵をもらって外装から取り掛かりました。
テーマは「品質が良くて、しかも安そうな」店です。
ロゴは私が注文をつけて、再び玩具のロゴのデザイナーのMさんが
良いものを作ってくれました。
「取り合えず」定価の70%引きの値段を看板に書いて
壁に取り付けました。
その看板は今も「取り合えず」そこに掛かっています。

アナログの写真屋で三軒目の店を出すのは、
少し遅すぎたのかもしれません
写真の博覧会に行っても、
すぐそこまでデジタルの時代が近づいているのを感じました。
デジタル写真は質も値段もまだまだでしたが、
各社がその方面に全力を注いでいるのが見てとれました。
しかし私はまだ5年は大丈夫だと判断しました。
それまでに稼げればいいのです。
ヨーロッパは写真の分野でも保守的だから、
デジタル化は日本やアメリカの何年も後になるはずです。
(この年から8年目に
「ある晴れた日突然に」と感じるぐらいの勢いで
一気にデジタルカメラばかりになるなんて知らんがな)


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2004年8月31日(火)

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